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3割くらいは仕方ない [教育・生涯学習]

文部科学省の調査で児童虐待の通告義務を教員の3割が知らなかったということがわかった。
この記事をテレビでは「3割もの教員が知らないというのはあまりに不勉強」と言っていたのだが、果たしてそうだろうか。
一般だってそんなに知っている人は多くないわけで多分同じような調査をすれば5割を切るだろう。
それを7割が認知していること自体、法改正からわずか2年ということを考えれば十分な数だといえる。

しかし、問題は認知しているしていないではなく、それを活用しているか否かなのだ。
もともと学校などで子どもと多くの時間を触れ合っている教師の側に告知の義務を課すことで親から「ちくった」ということをいわれないように義務化したわけである。
それを「校内で対応が可能と判断」「虐待という自信がなかった」「家庭のプライバシーを侵害する」といった安易なことで活用しきれていないということは法の主旨を踏みにじっているとしか言いようが無い。

だいたい学校内で対応が十分にできるとしても情報として児童相談所や福祉事務所が把握しておく必要はあるのだ。
家庭内暴力や虐待はいったん止んでも再び起こり得る可能性のあるものなのだから念には念を入れた対応こそが事件を未然に防ぐ良策ではないか。

虐待と確定できる自信がなかったとしても、それを多くの人と相談をして判断すれば良いことではないのか。
本来学校の教師は子どもの専門家であるはずなのにそれでも見ぬけないことはある。だったらばこそ児童相談所など二重三重の対応を図るべきであろう。
最近の先端を行く病院では診察結果においてセカンドオピニオンを積極的に提唱しているところがある。
学校でも自分たちだけの判断に頼るのではなくセカンドオピニオンを行えば良いではないか。

確かにプライバシーの侵害を恐れる向きもわからないわけではない。
日本では一部人権運動団体によって過度な個人情報保護が跋扈しており社会として動脈硬化を起こしつつあることは事実なのだ。
しかしどうだろうか、それを恐れて虐待によって死ぬ子どもが出た時、同じことを堂々と言えるのだろうか。
言えるのであれば、虐待事件がある度になぜ学校が謝罪するのか。
プライバシー侵害の恐れがあったため踏み込みませんでした、と堂々と言えば良い。

確証がなくとも芽を摘んでいくことで犠牲者を少なくすることができるのだ。
7割の教員は恐れず通告すべきだ。
その姿を見ていれば残りの3割もきっ認識を改めるだろう。

これは一般人にも言えることなのだ。
ぜひとも身近にその恐れのある事象を見かけたら悩まず児童相談所へ通報しよう。
そして、児童相談所などは通報を受けやすくするような窓口を充実させて欲しい。
同時に通告を受ける側も「ネタ元をばらす」ような無様な真似だけは止めて欲しい。

虐待を防ぐのは近所で見守る貴方の力が大切です。


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コメント 2

an_accused

 南雲さまの仰るとおりですね。
 青森県では、児童福祉司を2倍以上に増員して子育て相談などを充実させた結果、虐待に関する相談件数が大きく減少しています。
 また、大阪府では乳幼児を定期健診に連れてこなかった家庭に対して保健婦や民生・児童委員らを訪問させるなど、虐待の兆候を早期に発見できるような体制作りに努めています。
 このような政策の推進とともに、地域社会による“見守り”を強化していくことが、児童虐待の抑止には必要ですね。

 ところで、「過度な個人情報保護」を跋扈させているのは主として行政や警察であって、「人権団体」が過度な個人情報保護を求めているというのはあまり聞いたことがないのですが、どちらの「人権団体」がヒステリックに個人情報の保護を訴えているのですか。
 私はどこかの「人権団体」に属しているわけではありませんが、社会の病理の全てを「人権団体」の仕業にしかねない南雲さまの言説はいささか滑稽に思えます。まあ、何かわけがあってのことだとは思いますし、「人権団体」には問題のあるところが多いので、そのような「坊主憎けりゃ袈裟まで」的な結論に至るのもわからなくはないのですが。
by an_accused (2006-06-01 18:36) 

南雲しのぶ

an_accusedさん、コメントありがとう。
誰しもが知るということは現実不可能だと思うのです。
ただ、知ったからにはそれを活かそう、生かせる環境を作ろう、という思いです。
実は、私も匿名ではありましたが一度疑惑に思ったことを通報したことがあるのです。
ドキドキしましたよ。これが大問題になったらどうしようかって。
でも、それはそれで良い方向に動いたようで個人的にはホッとしています。
投げてしまえば後は児相などを信頼するしかないですからね。

さて、人権団体の取扱についてですが、確かにan_accusedさんの仰る通りキャンペーンを張っているといわれても仕方ないでしょう。
これは個人的な思いがあってやってる部分も少なからずあります。
ただ、「坊主憎けりゃ・・・」では決してありませんよ。その人権団体の構成員に知り合い(先方はそう思ってないかもしれないけど)も居たりしますから。
反対に、なぜその構成員が現状を打破しようとしないのかが歯がゆくてならないから、ということも有るかもしれません。
by 南雲しのぶ (2006-06-01 19:42) 

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