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広島高裁で差し戻し審が間もなく始まる [山口県光市母子殺害事件考]

「高裁への差し戻し」


昨年6月に最高裁でなされた光市母子殺害事件の無期懲役判決の破棄による広島高裁の差し戻し審が5月から始まろうとしている。

まず驚くのは、差し戻し審が始まるまでに10ヶ月もかかるということだ。
ほとんど1年。これから審理が開かれ判決がでるまでにどれだけかかるのだろうか。
死刑が出る可能性が高いというなかで、判決がでたところで弁護団により再度最高裁に持ち込むという噂すらある。
被告人が何歳になれば解決するのであろうか。

さて、弁護団が弁護方針を明らかにした。
最高裁で主張していたように「殺人ではなく傷害致死」ということを立証することを第一義にするのだそうだ。
状況によっては、被告自身も出廷させ自らの言葉で反省の弁などを語らせることも考えているということだ。

事件が起きたのは平成11年の4月だ。
すでに8年が経とうとしている。
18歳だった被告も今や25(裁判が始まる頃には26)歳だ。
言い方を変えれば、被害者である長女はすでに小学生の年齢なのだ。
時の流れとは恐ろしい。

弁護団の言うように、被告に反省の弁を語らせたとして何が得られるのだろうか。
仮に8年間、自分が死刑にならないような方策だけを考え、裁判官を騙す稽古をしていたのであれば十分すぎる時間だ。
と同時に、事件を起こした時が原点であり、そこから先にどんな変化があろうがそれを裁判の影響要因にするのであれば「反省すれば許される」という社会になってしまう。
もちろん、軽微な罪であればそれもまたあるだろうが、事は人が死んでいるのだ。
人の死をそんなに軽く扱って欲しくはない。

この事件での市民の反応を「まるで殺せ殺せの大合唱をしているよう」と評したジャーナリストが居たが、確かに熱しやすくて冷めやすいという日本人の気質を非常に残念に思う事がある。
ぜひとも忘れてはならない事件について再度目を向けて欲しいと願う。

出来るだけ短期間で理解を得られる判決が出ることを望む。
まぁ、弁護団は何度でも再審請求をする気なんだろうけど。

足立コンクリ殺人事件の時、被告らに対してもっと厳正厳格な処分が行なわれていれば今のようなことにはなっていなかったのかも知れない。


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コメント 8

kenji47

>出来るだけ短期間で理解を得られる判決が出ることを望む。

まず結論ありきで早く裁判が終わることだけを求めるのは問題ありです。

公平な法廷で慎重に審理することにより、事件の真相が解明されるというのが刑事裁判の目的です。
もちろん迅速な裁判の要請も軽視してよいわけではありませんが、事実の究明に比較すればその重要性は劣後するものと思われます。

いまだに南雲さんは真実を自分が知っているかのように書かれていますが、あなたはこの事件の証拠を目にした上で判断されているのですか?たんなるマスコミの報道を鵜呑みしているだけではないでしょうか?
折りしも、富山や鹿児島で冤罪事件が報じられ、痴漢冤罪事件を扱った映画も話題になっています。
そういう不幸な事態を防ぐためには、何より適正な手続きによる裁判が必要ではないでしょうか?

私個人も、報道による限り、この事件が冤罪とは思いませんし、被告人に殺意が無かったとも思いませんよ。
しかし、事件の真相は法廷で明らかにされるべきことです。
事実を正確に把握する術がない者が、不確かな情報を基に勝手に事実を認定し、量刑まで行い、あげくには早く処刑しろ、というような態度は非常な危険なものではないでしょうか?
by kenji47 (2007-03-04 01:04) 

南雲しのぶ

kenji47さん、コメントありがとう。
「理解を得られる」と書いたように、単に時間を短くすれば良いとは思っていません。
もちろん一番大切なのは「真実にそった現実的な判決」です。
司法に関わる方々は、短くできる部分は簡潔に進行させて欲しいと願うわけです。前回のように裁判戦術を労するようなことに対しては厳格に対応すべきです。
もう、判決内容がどうであろうがそれは裁判所の判断に任せるしかありませんが、被害者はいつまで苦しめば許されるのでしょうか。
kenji47さんはそう思いませんか。
今回の記事でもその2点を問うているものです。

警察・検察の暴走、ここにきて色々知る事がきでました。未だにそんなことをしているのか残念でなりません。
ただ、それをもって短くできる時間を無駄に浪費して欲しくないものです。
なぜ最高裁から差し戻し審まで10ヶ月もかかるのでしょう?ご存知でしたら教えてください。
by 南雲しのぶ (2007-03-04 06:45) 

kenji47

>なぜ最高裁から差し戻し審まで10ヶ月もかかるのでしょう?ご存知でしたら教えてください。

私も詳しい事情はわかりませんが、高裁の能力と比較して係属する事件が多すぎるのが一因だと思われます。
基本的には、不公平の無いように順番に事件を取り扱っていくのでこうした長い期間がかかるのでしょう。
少なくとも半年以内くらいには審理開始できるように高裁の能力を増強すべきだとは思いますけどね。

それに、高裁に移審される事件が多いというのは、地裁の審理が拙劣で慎重さを欠いているため控訴される事件が多いというのもあるかもしれません。
一審の迅速さを求めることが、かえって控訴審の停滞を招くような事態もあるやもしれません。
被告人や関係者の利益を考えるならば、多少時間がかかったとしても一審の審理を慎重にしたほうがかえって事件が解決する時間は短くなるという可能性もあるのではないでしょうか。
by kenji47 (2007-03-04 23:23) 

南雲しのぶ

kenji47さん、コメントありがとう。
へぇ、順番なんですか。それが10ヶ月待ちというのでは「裁判には時間がかかる」と言われても仕方無いですね。
一審の拙劣さというのもあるのでしょうが、弁護側も検察側も「負け」た方が自らの名誉保持のために意味も無く控訴しているということは無いでしょうか。
言われるように一審でしっかりした判断がなされれば、二審、三審へと長期戦にはならないでしょうからね。
ただ、無駄な時間は省いてもらいたいとは思います。それは裁判というのは単に被告のためにあるのではなく、社会のためにもあると思うからです。
社会がその事件を忘れてしまってから判決が出ても判決のもつ影響力は薄まってしまいますから。
by 南雲しのぶ (2007-03-05 06:45) 

kenji47

>へぇ、順番なんですか。

原則的には順番だと思いますよ。
それぞれの事件が被告人にとっては人生の一大事なのですから、重大性で取り扱いに差をつけるわけにはいけません。
これこそ公平性の現れです。

>弁護側も検察側も「負け」た方が自らの名誉保持のために意味も無く控訴しているということは無いでしょうか。

双方意味の無い控訴もあるとは思いますが、それは「権利」
ですから尊重されねばなりません。
by kenji47 (2007-03-06 23:18) 

南雲しのぶ

kenji47さん、コメントありがとう。
順番が公平性とは思えないですが、まぁそれ以外では何らかの理由を明示しないとならないから面倒なんでしょうね。
権利だから無意味な控訴も尊重する。
無意味かどうかは人それぞれですから仕方無いのでしょう。「権利」尊重の国ですから。
そう言う時、間に入って調整する「何か」があるといいのでしょうがね。
by 南雲しのぶ (2007-03-07 06:16) 

無名

 法医学関連の本に書かれている「窒息の症状と経過」についての内容を読まれた方が良いかと思います。これを読めば「殺意がなかっただと、ふざけるな!!」とか「殺人じゃなく事故だと、馬鹿にしてるのか!!」などという気分になるかと思います。
by 無名 (2007-03-08 17:04) 

南雲しのぶ

無名さん、コメントありがとう。
そうですか、一度読んでみるようにします。
by 南雲しのぶ (2007-03-09 06:27) 

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