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法医鑑定って言われても [山口県光市母子殺害事件考]

「法医鑑定人、弁護側主張に沿った証言 光市母子殺害」(iza!)

山口県光市母子殺害事件差し戻し審2回目の集中審理2日目。
今回は、法医鑑定人2名による法医学的見地からの証人尋問が行なわれた。

日本医科大大学院大野曜吉教授が
弥生さんに対しては
「両手で首を強く絞めつける行為では、このような傷はできない」
「背後から腕で首を絞めた後、逆手にした右手で首を押さえつけたと考えた方が自然だ」
夕夏ちゃんに対しては
「頭部の傷からは床にたたきつけられたとは判断できない」
「首にはひもが皮膚とこすれた痕跡がなく、強く絞められたとはいえない」
と証言している。

しかし、そうやって二人を死に至らしめたという事実はより一層深められたということではないか。
強く絞めたか否かではなく、人を死なせたということだけでも十分最高刑を求めて良いのではないだろうか。
過失というのは「偶然、死に至らしめた」ということで、首を絞めておいて「殺意」が無かったことにつなげようというのは納得できない。

ここで思うのは、「法医鑑定」というものがあまりに危ういものなのだということだ。
このように弁護側の証人として出る「鑑定人」は弁護側に、検察側の証人として出る「鑑定人」は検察側に、それぞれ都合の良い鑑定が出て来る。
「事実」は一つであっても「過程」がいくつにも分かれる。
「死亡」したということは同じでも、「強く絞めた」「絞めていない」という二つが出るということだ。

こうなってくると結局、「人を死に至らしめて」も「殺意」があったか無かったかが量刑が変わって来るということの方がおかしなはなしなのではないだろうか。
このようなことで裁判が長期化複雑化していることを考えると、「過失致死」であっても有期刑の限定を外すことも視野に知れるべきではなかろうか。

この事件など「人権派」が跋扈(ばっこ)する裁判のお陰で、最近、多くの人が刑法や刑事訴訟法に矛盾を感ずるようになってきている。
本来、これら法は性善説に立ちできるだけ社会の力によって人を立ち直らせたいという側面を持っていたが、それを悪用するがごとくの人が多くなれば当然見直しも止む無しとなる。
すると、本当に過失で死亡させてしまった人にまで影響を与えてしまう。

資料

刑法(総務省法令データ提供システム)
刑事訴訟法(総務省法令データ提供システム)

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「アパートが怪物に見えた」が通用するのか

それにしても、昨日の更新ではタイトルはつけてないは二重にTBを貼ってしまうはで本当に焦ってしまいました。


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コメント 7

こう

「首を絞めたけど、まさか死ぬとは思いませんでした。」という証言ですか。
それで殺された家族はどう思うのか、人として考えて欲しいですよね。
by こう (2007-07-26 09:03) 

こう

そういえば、1,500記事ですね。
すご過ぎます。
by こう (2007-07-26 09:09) 

南雲しのぶ

こうちゃん、コメントありがとう。
そこなんですよね。
法的には「たまたま首に腕を回した」だけなら過失になっちゃうんですよね。
そういうことが市民意識と法律が乖離してしまうう原因なんでしょうね。
殺された側の気持ちなんて考えないのも法律です。
それと、1500記事目でしたね。
昔は100記事毎、1000閲覧毎に記事にしてたりしましたが最近はスッカリ忘れてました。
まぁ、数撃ちゃ当たる論法ってところでしょうか。
毎日更新しないと続かなくなりそうな気がしているだけです。
by 南雲しのぶ (2007-07-26 19:38) 

有江無代

気になる記事を見つけたので貼ります。

>大野曜吉日本医科大教授(法医学)は、殺害された会社員本村洋さん(31)の妻弥生さん=当時(23)=について「首に両手で絞められた跡は見られない」と説明。あごに残る円形の傷は、被告が背後から腕で首を絞めた際、作業着袖の金属製ボタンが当たったと考えられるとした。(時事通信)

一般の作業服だと袖のボタンは外側に向くから、大野氏が言うような傷は付かないと思うのですが・・・どうでしょう。
by 有江無代 (2007-07-26 20:45) 

南雲しのぶ

有江無代さん、コメントありがとう。
そう言われると確かに外側を向きますね。
ただ、こういう鑑定人だと何とでもなるのでしょう。
別に「考えられる」としか言っていないわけだから、別の考えもできるかも知れないと言い出すかも知れません。
もうこの裁判では何が出て来ても驚くに値しないですから。
by 南雲しのぶ (2007-07-26 22:05) 

hide

しかし、ドラエもんやら怪物やらと考える人間が魔界転生を読むとは思えんがなぁ・・・・・・これを考えた弁護人はある意味すごい!
by hide (2007-07-27 06:27) 

南雲しのぶ

hideさん、コメントありがとう。
まぁ、とにかく何でもありの世界ですから、これからも何が出て来るかわかったものではありません。
こういうことが裁判で日常的に行なわれていたのかと思うと・・・。
by 南雲しのぶ (2007-07-27 06:47) 

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