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番組制作の都合を優先させるな [時事・日常生活]

先日、夕方の某テレビニュースで「東京で洪水が起きたら」というシミュレーションを検証していた。
それはとても良いことなのだが、ひとつ気になったことがある。

'47年9月のカスリン台風によって東京下町が水没したケースを取り上げていたのだが、「荒川が決壊しその水が下町へ」という表現をしていたからだ。
これ、決して間違えではないのだが、水量の大半は利根川及びその支流(荒川の支流と合流してはいるが)によってもたらされたもので、荒川単独の洪水と思わせるような表現は避けた方が良かったのではないだろうか。

どこの堤防が一番早く切れたか、だけを問えば荒川で15日夜に熊谷市周辺だ。だが、その直後、利根川と渡良瀬川合流点付近で16日0時に決壊している。
国土交通省が出している資料でもこの水害は利根川における水害として取り扱われている。
いずれにしても、未だに同規模の台風が来襲すれば危険であることに変わりがなく、状況によっては当時より悪くなる可能性もある。
私は昭和56年8月の竜ヶ崎市付近での洪水を目の当たりにしているので、洪水の怖さは人一倍だ。

確かに、各所でスーパー堤防化や地下河川の整備によって対策は講じられており、人的被害はカスリン台風時の1,000人を上回る死者行方不明者ということにはならないであろう。
しかし、誤った情報により非難が混乱する可能性は捨てきれない。
それと、洪水が決壊から水没までが短期間で起きたような作りだったが、実際には台風中心が関東地方を抜けたころに決壊が始まり、東京湾に達したのはそれから4日後で台風が消滅してからだ。
激流が駆け下ってくるとか一か所の決壊で堤防全体が崩壊するかのようなイメージ付けは決して良いものではない。
報道機関も単なる警鐘するだけでない番組作りをしてもらいたいと願う。

ちなみに、私の家は当時水没しなかった部分に当たるので安心はしているものの、春日部市の大半は低地ですからどうなっちゃうんでしょう。


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コメント 6

mako

現在母が住んでいるところは 昔土手が壊れて人の背丈より水が流れた地域です。
母はマンションに住んでいますが 行き場がなくなるのは必定。助けに行きたくとも そうそうは近づけないでしょう・・・

災害は・・・・・・焦燥感もつきまといますね。
by mako (2007-09-02 07:54) 

南雲しのぶ

makoさん、コメントありがとう。
私の住んでいる地域も、ちょっと行くと低地になります。
多くの人が自分の住んでいるところが低地なのか、水害の影響でないのか、って知らないですよね。
役所に行くとハザードマップがあるので貰っておくと良いと思います。
by 南雲しのぶ (2007-09-03 06:27) 

こう

事実とずれた報道されると、正しい防災が出来なくなる可能性があるので困ります。
ハザードマップが整備されると、客観的な危険度が把握できるのでありがたいですね。
by こう (2007-09-09 06:58) 

南雲しのぶ

こうちゃん、コメントありがとう。
まぁ、防災意識の高揚のためととらえれば仕方無いのかも知れませんが、事実は正確に伝えるべきでしょう。
ハザードマップだけでなく地勢図の古いのとかもありますから、それも意外と便利です。
盛土造成かどうかを知るだけでも防災意識は高まりますよ。
by 南雲しのぶ (2007-09-09 08:21) 

letterwritingday

カスリン台風の際の水害はわたしの街もうけたようです。幸手辺りの土手が切れたとの情報が先に届き、その2日後ぐらいに浸水し始めたと聞いてます。
by letterwritingday (2007-09-09 22:10) 

南雲しのぶ

letterwritingdayさん、コメントありがとう。
当時はメディアが発達していなかったので、どれだけの勢いなのかが下流域に伝わらなかったみたいですね。
私の体験した小貝川の氾濫の時もメディアでは一番被害の大きい所は空撮していましたが、どの方向にどの時間に到達するのか、どう流れるのかなどの情報は無かったように思います。
by 南雲しのぶ (2007-09-10 05:37) 

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