自殺ほど無意味なことはない

昨日、私の目の前で飛び降りが起きた。

「ドスン」
何とも言えない鈍い音だった。
何の気もなく音のした方を見てみると百貨店の立体駐車場の下に頭から血を流した若い女性が倒れていた。

最初は何が起きたのか全く分らず「通り魔か」と現場へ駆けつける。
まだ野次馬も来ておらず百貨店の担当者と警備員が周囲をブルーシートで覆っている最中だった。
そして救急車が。

救急隊員が対応しているが女性は全く動くそぶりもない。
見るからに・・・のような状況だった。
そしてストレッチャーに乗せられて救急車の中に。

「もうダメだな」
周囲に野次馬が集り始めていた。
運ばれたときは「心肺停止状況」だったのだそうだが、誰しもが口にこそ出さぬがそう思ったろう。
そしてどうなったのかは分らない。
生きていて欲しいと心から願っている。

目撃者が警備員や救急隊員から色々聞かれている。
彼女の荷物であろうか赤い小さなバッグ。

あの百貨店では過去に何度か飛び降りがあったそうだ。
そのために高層階には全てネットが張ってあって飛び降りることが出来ないようになっている。
それが今回は３階部分のそれほど高く無い階層だった。

まさかこんな低い所から飛び降りるなんて。
誰も思いもしなかったろう。
お店の側だってそう思ってネットがなかったに違いない。

見ている内に粛々と流れ作業のよろしく後片付けがなされている。
１時間くらいだったろうか。
もう血の海も洗い流され、その水たまりだけが彼女の飛び降りを想像させるものになってしまった。
そしてしばらくすると何事も無かったかのように時間が過ぎて行った。

実は、飛び降りる数分前までその場所を眺めていたのだ。
もちろん、その時には彼女もいなかったしそんな雰囲気すら無かった。
なのになんで・・・。
私がもう少し長くそこを眺めていたら止められていたのではないか、何か出来たのではないか、と自責の念に苛まれている。

なぜ自殺などしようとするのだろう。
どんなに悩みがあったとしても死んでしまって良いと言う事は無い。
生きる事に疲れたのかも知れない。
それでも生きていなければならない。

私は今日のこの場面をみるまでは「辛いなら自殺をしても仕方無い」と思っていた。
しかし、今日からは「決して自殺などしてはならない」と叫びたい。

もし今、自殺を考えている人がいるなら「自殺ほど無意味なことはない」と強く言いたい。
どんなに辛くとも、どんなに悩みがあっても自殺だけはしてくれるな。
頼む。

「生きていれば、その内に良い事あるさ」
なんて言うつもりはない。
ただ、その死を見たものの悲しみや辛さを感じ取って欲しいのだ。
私は今、辛くてたまらない。

コメント 8

こういう内容にnice!ってのもちょっと気が引けましたが・・・

「ただ、その死を見たものの悲しみや辛さを感じ取って欲しいのだ。」う～ん、う～ん、難しいですね。
感じ取れる人なら死なないでしょうしね。感じ取れるようになるにはどーしたらいいんだろう？なんて考えました。

友達に「今までの人生で自殺したいと思ったことある？」と聞くとほとんどが「ある」というのです。
私はまったくないのですが。私も生きるホントの理由？はわかりませんが・・・私流の生きる理由は①春夏秋冬の季節の移り変わりの素晴らしさを感じることが死ねばできなくなるから。私はこの地上が天国だと思っていますので②身体が傷ついたとき肉体は修復するようにできているから。つまり肉体は生きるようにできているから・・・これは自然の意志だと思うから。
・・・です。
でも、結局は生まれてからどれだけ愛情をいっぱい貰って育ったか、が決め手のような気がします。「問答無用の過剰すぎるくらいのぐちゃぐちゃなスキンシップ」が大事だと思っているんですが。そういう「自分が死んだら身近にメチャクチャ悲しむ人がリアルにイメージ」できれば歯止めになるような気がします。
その方にはそういう悲しむ人が周りにいなかったのかなあ？という気もしますが・・ほんとのことはわかりませんしね。
実は４～５日前にウチの裏のすぐ近くの線路で飛び込み自殺があったばかりなので私もショックでした。線路中央にうずくまって電車を待っていたらしいです。そのシーンを想像をするだけでも辛いですが・・・。
ヘンなコメントしてごめんなさい。

by toyo (2008-03-08 09:57) 

こんにちは。みみちゃんです。
ログイン状態でコメントすると失敗するので、ゲストで失礼します；；；。

俺も衝撃的な経験をしたことがあります。

俺が乗っている電車に、飛び込みがあったんです。

俺は、一両目の一番前の戸袋のところに立っていました。だから、（飛び込み自体は見えなかったけど）いろんなナマナマしいものを見聞きしてしまったのです。

飛び込んだ瞬間の、ドンという衝撃。

おそらく車外の誰かの「ぎゃー」という悲鳴。

立っている乗客が倒れそうになるほどの急ブレーキ。

声を震わせながら「飛び込みがありました」と車掌の車内アナウンス（←ホントはこういうこと言っちゃいけないらしいですね、鉄道会社の内規では）。

戸惑い混乱する観客。

数分ほどして遠くから救急車の音。

電車を降りて、前のガラスを拭いている運転手。

列車は30分ほどで再び運行されましたが、車内の騒乱はしばらく収まりませんでした。

自殺は、適応障害になってから、何度か考えたことがあります。しかし、娘を亡くした経験を思い起こすと、いま隣にいるカミさんを思うと、踏みとどまれた。

『生きろ』『頑張れ』という言葉が、自殺の背中を押してしまうこともある。病気になって経験しました。……難しいですね。

俺には、なんとも言えません。俺の考えを表現できる言葉が思い浮かばないです。
by みみちゃん (2008-03-08 22:31) 

toyoさん、コメントありがとう。
確かにこういう記事にはコメントつけにくいですよね。
ただ、自殺を考えている人にはもっと周りを見てみて欲しいなぁとは思います。
「死」しかないと思い込む前に。

以前、自殺を取り上げた記事を書いた時には色々と辛いコメントをいただきましたが、現場を見て初めて思う事が多かったです。

年間の自殺件数が交通事故死者数よりも多いということももう少し意識していく必要があるかも知れませんね。
by 南雲しのぶ (2008-03-09 18:33) 

みみちゃん、コメントありがとう。
相変わらず大変ですね。

自殺については色々な考え方があるでしょう。
「死ぬ権利だってある」という声もあるようです。
でも本当に「死ぬ権利」ってあるんですかね。
死ぬってことは周りの人に必ず迷惑がかかるわけで、天涯孤独だからと言っても、自殺すれば行政機関が後始末をするわけで意外と馬鹿にならないんですよね。

私も今回の経験から「生きろ」「頑張れ」と言うことは止めて「死ぬな」と言う事にしたいと思っています。

今回の現場ですが、あれから3日。
スッカリ何事も無かったかのように土日のバーゲンで賑わっていました。
今では自殺では新聞の記事にもなりません。
人の死ってこんなもんなんですかね。
by 南雲しのぶ (2008-03-09 18:41) 

南雲しのぶさん、嫌なものを見ましたね。
時々、巻き添えを食う人もいますから、気をつけて欲しいものです。

若くて死にたくない人でも、病気などで亡くなってしまう人がいるわけですから、勝手に自分で死ぬなと言いたいですよ。

自分はうつ病ですけど、自殺願望は皆無でした。仕事のし過ぎでなったので、こんなことでは死ねないな。という感じです。
俺の命はそんなに軽くないぜ。
by あまちゃん (2008-03-10 00:11) 

あまちゃん、コメントありがとう。
飛び降り自体を見なくて良かったです。
見ていたらショックで暫く何も出来なかったでしょう。

現場は繁忙期なら人で溢れるような所ですから、巻き込みが無くて本当に良かったです。
本人がそこまで考えていたのかは分りませんが。

「自殺」
本人にとって、これほど無意味なことはありません。
それ以上に、そこに接するいろいろな人にどれほどの迷惑をかけるのかを考えれば「できない」はず。
それでもするなら「自分勝手」としか言いようがありません。
そういう人だから「自殺」するのかも知れません。

「自ら命を断つ権利」など誰にも無いと私は思います。

by 南雲しのぶ (2008-03-10 06:10) 

目の前でですか・・・。何と申し上げたらよいやら。
言葉が見つかりません。
by サァファイヤ (2008-03-11 02:39) 

サァファイヤさん、コメントありがとう。
飛び降りた姿を見なかっただけ良かったです。
ただ、まだ地面に居る時にみてしまったのでショックは大きいです。

自殺は本当に無意味です。
by 南雲しのぶ (2008-03-11 06:22)