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差し戻し審に思う [山口県光市母子殺害事件考]

「【光市母子殺害】裁判はこれからどうなる」(iza!)

山口県光市母子殺害事件(以下「光事件」)の広島高等裁判所(第二次)判決が22日にでて1週間。

判決開始直後に速報をあげてから1週間が経った。
これまでは速報性ばかりを気にして早く記事するというこどだけで書いて更新させていた。
しかし、ここまで追いかけて来ると、そう言っていて良い立場では無くなっているのかも知れない。

今回は、事実関係の確認や他の方のご意見を良く調べてから自分の考えを示して行きたいと思っている。
だいたい1週間も経つと出尽くした感はあるのだが、まだ判決文(全文)が裁判所サイトで公開されるのも少し先だろうので、最終的にはそれを待ちたいところだ。
それより気になるのは、最高裁(第一次)判決時よりも盛り上がりに欠けているのではないかということだ。
加害者側に立つもの、被害者側に立つもの、茶化すものとそれぞれ極端になってしまって、一人一人の言葉にオリジナルなものが無くなってきていたり、一部には対立ばかりをあおるようなものも散見された。
やはり時の経過というものの重さなのかも知れない。

私としては、今回の判決はこれまで言い続けて来たように「妥当なもの」だと思う。
被告に同情をしなければならない要素も公判や判決(要旨)の中からも伺え無かった。
被告側が上告をすると聞いた時には「やはり」という思いと、確定後にも再審請求などが行なわれ永い永い戦いの始まりであると思う気持ちになった。

今回、司法に変化が示されたと感じたのは、「永山基準からの離別」ということだ。
これまでは「永山基準ありき」で「基準との比較」で判決が出されていて、本村氏記者会見で朝日新聞の記者が聞いていたように「ハードルを超える」というほどの超えるか超えないかの判断基準として尊重されていた。
今回は、「個別の事件・事象によって判断」されるべきものとして、死刑を科すにいたった。

これが本当のあるべき姿なのではないか、と私は思う。
私はもともと判断するのに「基準」が存在していたことを疑問に思っていた。
ただ、多くの法律に詳しい方からはその有用性をご指摘をいただき、それも認識できるようになってきたように思う。
それでも、「基準」よりも「個別判断」に重みを起きたいとい思っているのだが。

それ以上に、この事件が起点となって裁判の世界が少しずつ動いていることが実感できることが私にとっては嬉しいことだ。
被害者遺族の心情を公判の中に堂々と持ち込めるようになった。
そして、行政による被害者支援制度も形になってきた。

なにより裁判が身近に見えるようになって来た。
これまでとは格段に情報が公開されてきているように思える。
これまではテレビや新聞(以下「マスメディア」)が取り上げることだけしか知り得る手段が無かった。
当然、それらは時間や紙面という制約があり、かつ儲からなければならないといことからも「人目を引く」ものになっていった。
それが、ネットでの情報提供が増えて来て、制約が減って来て伝え切れなかったものまで伝わるようになった。
一昔前なら公判の一言一句みたいな詳報はなかなか出会えなかった。
それが今では翌日にはたいてい出て来ている。
まだまだ過渡期なので行き過ぎ感や不足感は否めないが、徐々に改善されてくれる事を望もうと思う。

それとともに、私のようにそれらを利用して書いている側ももっと論理的にかつ理解されるように書かねばならないだろう。
口で言うのは簡単だが、それなりのレベルで書けるようになるのはなかなか難しいものだ。

判決文全文を読んでから改めて記事にしていきたいと思うので今日はこの辺で。

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コメント 4

mako

裁判員制度が 施行されるようになるわけですから 南雲さんのように 事件に向き合う姿勢を持つことは大切だと思います。
人を裁くのは難しい。

ただ・・・加害者の人権だけではいけない
と漠然と思ってきたあたしには まだまだ人のことをいうには「ぼやき」程度だなぁ~と。


by mako (2008-04-30 05:17) 

南雲しのぶ

makoさん、コメントありがとう。
私の言っていることは、司法に詳しい方々からすると「何言っているんだ」ということのようです。
確かに無知な部分もあるので否定はできませんが。

特に事件の本分に対する主張と司法制度の将来についての主張をごちゃ混ぜにしているので、暮夜けてしまいお読みいただいている方に誤解を与えているようです。
もう少し、整理しながら書かねばならないと反省しつつまとめて行こうと思っています。

by 南雲しのぶ (2008-04-30 06:02) 

kenji47

>今回、司法に変化が示されたと感じたのは、「永山基準からの離別」ということだ。


まったく離別はしてませんよ。
差戻しした最高裁判決ご覧になったんですよね?
あの判決は永山基準に則って、その適用を若干拡げただけです。
基準の適用方法を変えたのではないかとの指摘も受けてますが、いずれにしても基準に則して判断するという態度は変わっていません。
今回の高裁判決もそれを受けてのもので、当然、基準を前提にした判断です。

誤解なきよう。

by kenji47 (2008-05-01 00:08) 

南雲しのぶ

kenji47さん、コメントありがとう。
もちろん「基準」から離別したとは思っていません。
あくまで「永山基準」からの離別です。
その点は、これまでkenji47さんらから永きに渡りご教授いただき基準の有用性も理解できるようになりました。
ご指摘のように「適用方法の変更」というものに近く「(仮称)光基準」が生まれ、それが初適用されたという感じなのではないかと思うのですがどうでしょう?
表現が上手くないですかね?

kenji47さんは、今回の変化が裁判員制度にどのような影響を与えるとお考えでしょうか?
by 南雲しのぶ (2008-05-01 05:37) 

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