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坂村健氏の学士院賞受賞を喜ぶ [時候・慶弔・リンク]

TRONプロジェクトのリーダーで日本コンピューター界の異端児的存在だった東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏が今年度の日本学士院賞を受賞された。
氏の功績は計り知れないものがあり、私がコンピューターというものに初めて触れた切っ掛けにもなった人物である。
コンピューターと言ってもまだOS自体がばらばらで機種ごとに存在しカセットテープに記録させていたような時代に「誰にでも使えて、どのような機種にも組み込めるオープンアーキテクチャー」としてTRONを提唱した。
これが当時政治的問題となっていた日米貿易摩擦のターゲットにされたことで頓挫せざるを得なくなった時には本当に残念でならなかった。

しかし、このことがTRONの有効性、先端性を示していたものであって、現代のユビキダス社会の先駆けでもあったと思う。
氏が腐らずに日本にとどまり研究を続けていてくれたことが日本コンピューター界復興の礎になっていると確信している。いまほとんどの携帯や家電に密やかに搭載されていることがその証明である。
二度と政治に翻弄されることのないことを願ってやまない。そして氏の受賞を心から祝うとともに、一緒に喜びたい。

痛快!コンピュータ学

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  • 作者: 坂村 健
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/03
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ユビキタス・コンピュータ革命―次世代社会の世界標準

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  • 出版社/メーカー: 角川書店
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コメント 2

ちゅるる

私はBTRONを時々使っています。
今ではWindowsやMacに慣れてしまったので、逆にBTRONの使いやすさが実感できなくなってしまいました。概念的なものや低性能のPCでも充分な効能が見込めるすばらしいOSなんですけどね。やはり利用する人が少ないと開発も進まないんですね。

でも南雲さんがおっしゃるように携帯電話や家電製品のほとんどがTRONで動いていることを知っている人は少なくても、実際に何気ない形で人々の暮らしに大きく貢献しているっていうのは坂村博士の本意なんでしょうね。
by ちゅるる (2006-03-15 13:09) 

南雲しのぶ

ちゅるるさん、コメントありがとう。
そうですね。TRON以降使いやすいインターフェースが出て来てしまったことも大きな打撃だったのでしょう。
貿易摩擦の政治決着を受けて坂村氏が会見していたのを見ていたのですが、彼の悲痛な顔を決して忘れることはできないと思います。
ひっそりとそれでいてしっかりとした「モノ」を作れるのが日本人の良いところかも知れませんね。
by 南雲しのぶ (2006-03-15 17:42) 

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