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割引判決はもうご免だ(凄惨事件考察) [特集・連載]

「監禁皇子、法廷で独自の「SM」論披露 被害者を愚弄も」(iza!)


連続女性監禁事件で7月に懲役15年の求刑を受けていた監禁皇子こと小林(現姓・石島)泰剛被告(26)に懲役14年の判決が言い渡された。

4人もの被害者を出し、未だにPTSDで苦労している女性が居ると言われているにも関わらず「逃げようと思ったら逃げられた」などと言って監禁自体を否定いている被告に、この判決で事足りるのだろうか。
もちろん、判決として出ている以上、現代日本においてこれで十分に足りているということなのだろうが、最大限の14年経ったところで彼はまだ40歳だ。
これまでの姿をみていると、その間に改心しなければまた再犯を繰り返すだろう。
罪自体を認めていないわけで、改心などとてもしそうにない。
控訴するであろうし、無罪になるまで争うつもりだろうから再審請求を起こすかもしれない。

それにしても、このような事件は全国各地で頻発しているのではないだろうか。
事件として明るみにでない、事件となっても裁判にならない、裁判になっても監禁として認められない、などなど「監禁」というのは曖昧なものなのだろう。
今回の被告のように「逃げようとすれば逃げられたのに逃げなかったのは(被害者側が)納得していたから」と言われた時、事実玄関にカギがかかっていなかったりしたら、それを覆すには大変な労力が必要となる。
「精神的に征服していた」ということを立証しようとしても困難が立ちはだかるからだ。

裁判においては「正常な判断」ということが被害者側からも加害者側からも出て来ることが多い。
では、「正常な判断」とは一体なんだろうか。
精神鑑定でわかるのか?
誰が判断するのか?

もともと犯罪というのは異常な環境下で起こるものだ。
それを「正常な判断ができる状況でなかった」ことをもって刑罰の上限や下限を判決前に決めてかかるのは必要なのだろうか。
まぁ、現在の裁判制度では必要なのだろうから構わないのだが。

裁判官が自ら証拠と向き合い、他からの求刑などをなくして判決が行なえるようなことにはでいないものだろうか。
制度的にも、精神的にも。
最近の判決では、どうしても求刑の9掛け、8掛けの割引というようなことが囁かれている。
今回も9掛けに近い。
なぜ求刑より高い判決がなかなかでないのかと不思議に思う。
確かに求刑は一番の上限を狙って来るからと言われるが、裁判官自体もそれに頼っている事は無いだろうか。

これから裁判員制度が始まる。
裁判官は前例に傾き、裁判員は「流れ」に傾く。
弁護士も検察も「流れ」を作るために必死になるだろう。
本当の真実に辿り着くことができるのだろうか。

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監禁皇子に15年の求刑(凄惨事件考察)

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コメント 6

mako

再犯する恐れおおいにありですね。

防ぐためには女性がもっと警戒心をもたないといけないのでしょうか・・・でももっと巧妙になるんだろうなぁ・・・
by mako (2007-10-21 09:01) 

南雲しのぶ

makoさん、コメントありがとう。
そう思いますよね。
彼の場合、以前すでに同様の事件を起こしていながらの犯罪なのですから。
14年経ったら改心しているとはとても思えないのが辛いのですが。
by 南雲しのぶ (2007-10-21 09:27) 

kenji47

>裁判官が自ら証拠と向き合い、他からの求刑などをなくして判決が行なえるようなことにはでいないものだろうか。


他のところでも書きましたけど、裁判官に大きな裁量を与えるのには疑問です。
欧米では日本より遥かに厳しく裁判官による刑罰の裁量を制限しています。
アメリカの映画やドラマで「第一級殺人」とか二級とか聞いたことあると思いますが、これは犯人の故意や過失の態様をさらに細かく認定して刑罰を決めようとするものです。
たとえば州によって異なりますが「第一級殺人」ならば「謀殺」つまり計画的犯行であることが要件となり、与えられる刑罰は「死刑、あるいは無期懲役」に限定されます。
そしてどの種類の殺人罪で起訴するかは検察官の権限に委ねられています。
なぜそのような仕組みになっているかというと裁判官あるいは検察官のみに強大な権利を与えるのは人権侵害の危険があると考え権限を分散させているのです。

裁判官にフリーハンドの裁量を認める前にこうした点も考慮されてはいかがでしょう?
by kenji47 (2007-10-21 14:18) 

南雲しのぶ

kenji47さん、コメントありがとう。
もちろん、裁判官の暴走を牽制しなければならない事も理解できます。
この提案も、その点は検討課題だと思っています。

ただ、現実、「八掛け判決」などと言われていることも事実で、裁判官の存在意義が薄れてしまうのではないか、というように思います。
もちろん、全ての判決を知っているわけではありませんから、そんなことは無いという可能性もありますが、メディアに出るような裁判では多くが該当していると思います。

これから裁判員制度が始まると市民(裁判員)は厳罰指向が強いでしょうから、この辺もあわせて考えて行かないとならないかも知れませんね。
by 南雲しのぶ (2007-10-21 16:55) 

晶

初めまして晶と言います。
こういう事件はかなり多いと思いますし、被害届けを出す事に躊躇する女性が多いらしいので氷山の一角かもしれません。

原因は屈辱的な事情聴取と病院の検査(セカンドレイプ)に裁判の出廷で被害者が特定されることの恐怖があります。 こういう事件の場合、女性の刑事が対応(事情聴取)すれば良いのですが警察は一切配慮せず、男性刑事が細かくその時の状況を聞き出し調書を取るのが現状です。 警察も被害者の女性にもう少し配慮して欲しいものです。

私の身内が事件に巻き込まれた時、警察に付き添ったんですがその時の対応には苛立ちました。

あと、最近の雑誌やAVにも少なからず影響があるかもしれません。 レイプ系のアダルトコミックやアダルトDVDは、あくまで作品ですが、一部の人はこの事に理解できず現実社会で実行してしまう。 表現の自由は大切な事ですが、犯罪を助長しうる物を表現の自由として守るのは疑問に感じてしまいます。

このような悲しい事件は起こらないで欲しいと切に願います。
by 晶 (2008-01-08 04:57) 

南雲しのぶ

晶さん、コメントありがとう。
そうですね。
頑張って届け出ても、事情聴取で傷つけられ、裁判で塩を塗り付けられではたまらないでしょうね。
最近では女性警官が事情聴取するなど配慮が始まってきているようですが、まだまだなのかも知れません。

しかし、一人一人が声を上げる事によって一歩一歩確実に進んで行くことができます。
上手く言えませんが将来、このような事件でセカンドレイプされない社会に早くしたいものです。

仰る通り、メディアの問題も大きいでしょう。
成人向けのものが簡単に手に入ってしまう。
そして現実と仮想の区別がつかない。
やはりどこかでシッカリとして区分けをしないとダメなのでしょう。
厳罰化とともに社会的な改善を行なわないと厳しいかもしれませんが。
by 南雲しのぶ (2008-01-08 19:09) 

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