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忘れてしまうことの怖さ [時事・日常生活]

「JR福知山線脱線事故から3年 捜査は長期化、癒えぬ傷跡」(iza!)

4月25日。
JR西日本の福知山線脱線転覆事件が起きた日だ。

05年の事件当初、私もすでにブログを始めていて、このことを記事にしてしばらく追いかけていた。
1年目は後追い記事を書いた。
2年目の時は他の記事に絡めて書いた。
3年目、とうとう事故自体を忘れてしまっていた。
忘れていたというより、ニュースで慰霊祭のことを取り上げていたにも関わらず、意識から遠ざかり記事にする意味を忘れかけていたのだ。
書くべきか書かざるべきか悩んだ。
しかし、当日や翌日、新聞に掲載された関係者の思いを読むにつれ、書くべきなのかも知れないと思い今日に至った。

107人もの人が死に、500人を超える人が負傷した近年では大惨事と言える事故であった。
忘れることはないだろうと思っていたのに、わずか3年でこのざまだ。

被害者本人や遺族、関係者は未だに痛みを感じて生きているにも関わらず、直接関係のなかった者の意識からは遠ざかってしまう。
致し方の無いことではあるが、それに比例するだけの「同様の事故を二度と起こさせない対策」はできているのだろうか。

電車に乗らない私は詳しくはないが、都市部での電車のダイヤはますます過剰となり、詰め込み乗車も変化があるとは言い切れない。
先日のJR東日本の中央快速線で起きた事故では50万人の人が巻き込まれたという。
あの事故は死者がでなかったからまだしも「システムが麻痺する」ということでは同根のような気がする。

風化していく中で、苦しんでいる人はまだまだ沢山いる。
後遺症に悩まされている人、家族が事故で亡くなり空虚感に耐えられない人、補償が満足に行なわれず生活に困窮している人、いろいろな人、いろいろな現実がある。
しかし、忘れて行く人は、関係者の苦しみの軽減よりも早いスピードで増えている。

先日も「日本の裁判は長い」という記事を書いたのだが、「忘れてしまっては意味がない」という気持ちだ。
風化してしまっては、事件を検証し関係者の思いを集めて「二度と起こさない」「起きた時の対応」をまとめることが困難になる。
事件発生当初の「憤慨」だけに頼っていると「厳しくしさえすれば良い」ということにつながる。
多くの人の気持ちが残っている間に、どうすべきかをまとめなければならないというのは難しいことだ。

私のような無知で影響力の無い人間が書いたところでどれだけのことができるのか分らないが、書く事だけなら私にもできるから。

この事故で亡くなられた方々のご冥福を改めてお祈りするとともに、被害者、関係者の皆さまにお見舞い申し上げます。

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福知山線事故からもう一年


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コメント 4

toyo

「忘れてしまっては意味がない」
ほんと、おっしゃりとうりだと思います。
自分に火の粉がふりかからないことはすぐ忘れてしまいます。
というか、自分のことで手一杯で他のことに心をとめる余裕もないのかもしれません。いけないいけないと思いつつ・・・。
by toyo (2008-04-27 09:56) 

okko

忘れるのは仕方がないと思います。問題は、仰せのとおり、その後の改善がどの程度行われているか。
電車、特に首都圏のそれは過密ダイヤ過ぎます。それも正確でないと苦情が出るし、どこかに無理のしわ寄せがくるので、恐いですね。
by okko (2008-04-27 15:50) 

南雲しのぶ

toyoさん、コメントありがとう。
日々の生活にいっぱいいっぱいになってしまっていて、周りが見えないってことは沢山ありますよね。
事が起きた時だけ声を上げれば良いということでは無いんですけどね。
by 南雲しのぶ (2008-04-27 19:39) 

南雲しのぶ

okkoさん、コメントありがとう。
「忘れる」と言う事を前提に物事を進めて行かねばならないでしょう。
そのために、熱が冷めない内に対応していかねばならないのですが、今の日本ではなかなか上手く行きません。
忘れさせておいてから都合の良いようにしたいという人たちが多いのかもしれません。

首都圏の鉄道網は常識を超えていますよ。
本来有るべき姿でないのに、それを当然としてしまっていて気づかなくなっているのでしょう。
by 南雲しのぶ (2008-04-27 19:42) 

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