始めに断っておくが、M社が悪いこと、原因企業であること、故意的な違法行為を繰り返していたことに違いは無く許されざるものだということに異存は無く、キチンとした法的処罰や社会的制裁を受けるべきだと思っている。
それを前提して、私は、この事件を最初に聞いた時、社会はM社だけを取り上げて終わりにしようとするだろうと思い、敢えて視点を生協からのものにした。
24日、囲みの記者会見で田中稔社長は
「安い肉を求める販売店や消費者側にも問題がある」
と言う発言をして、これまた批判を浴びている。
この状況でこんなこと言えば、当然と言えば当然の反応だ。
しかし、どうだろうか。
冷静に受け止めれば、この発言の方が道理が通っていないだろうか。
誰から構わず「安い」ということを求める。
「安売り」「激安」という言葉に踊らされディスカウントストアに客が殺到したりする。
「安い」ということは必ず裏がある。
誰かが損をしているか、誰かがこのような某か工作をしていなければ同じもので安くしようがない。
「安い」ものを「高く」売ることは出来ても「高い」ものを「安く」売るなど商道からすれば考えられない。
まして、それを継続的に続けて行くなどということは絶対にあり得ない。
もちろん、今回の事件では、別に卸値が安かった訳ではないようで、差益は全てM社の懐に入っていたのだから、冷食メーカーが納品された中身が分からなかったということも分からない訳ではない。
しかしどうだろうか、食品を扱うメーカーであれば中身を確認していなければならないはずだし、それを加工して出荷していれば製造者としての責任がある。
検品をするというのは当然のことであって、報道の中でもクレーム返品が数限りなく出ていたとまでいわれている。
当初は単にその納品物だけがおかしいと思ったとしてもそれが繰り返されるのであればキチンと精密検査が行なわれてしかるべきだったろう。
その点で、前記事でも書いたように生活協同組合が加わっていたことに驚きを感じたわけだ。
国民生活センターの「回収・無償修理等のお知らせ」を見てみると、この件だけで5社の情報が掲載されている。
それも誰しも知っている一流有名企業(
味の素、
旭松食品、
加ト吉、
日本生活協同組合連合会、
米久)ばかりだ。
後刻追加(
ニチロ、
ジェイティフーズ、
日本製粉、
ローソン)
これで分かるように、地域の肉屋さんで手作りコロッケとして作っているというような量ではない。
まして、これら企業に選ばれるということは、それだけ安価であったことは容易に考えられる。
安価で大量な肉を安定的に納入していること自体、疑わしいと思わないことの方が理解できない。
メーカー側の値下げ圧力と食肉というアンダーグラウンドな業界のなせる、二重にも三重にも複雑に絡まった社会全体の問題としてかんがえなければ、10年後にはまた同じ事件が起こるだろう。
消費者とて同様に、単に「安い」というだけで飛びつくのではなく、「本当にこの商品は大丈夫なのか」と一歩立ち止まって考えてみることも大切だと気づいて欲しい。
これは前述した国民生活センターのHPをみると良くわかるようになっている。
ぜひ、消費者側が知恵を知識を持ち販売者側の情報ばかりを鵜呑みにしないことに心がけて欲しいと願う。
これは私の
製造物責任法(PL法)への思いにつながるものがある。
「ミートホープ、従業員・パートを全員解雇方針」(So-netnews)
M社は、従業員に対して26日付で全員を解雇することを通知している。
この時、従業員や関係者側から「勝手すぎる」「私たち家族は、この先どうなるか分からない」と言う言葉が出ているが、彼らとて共犯者ではないか。
会社内での不正はなかなか言い出せないことは分かるが、元工場長が
内部告発した時にでも同調すべきだったのではないか、と思えてならない。
結局、保身のために事実を覆い隠していることが自らの身を滅ぼす事につながる。
このことは自身への戒めを込めて言いたい。